うらがえし
手首の隙間から
爪をさしいれて
からだの稜線に沿って すすむ
まっくろな海の砂がつまったなか
胸元ですこしもぐり
鳩尾を下れば
かぼそい天窓のひかり
にげないで
きょうは右にすすんで欲しい
腰骨にあたって
わずかにひねり
ひざを抜けるきつい一瞬 ちいさなわらいをこぼし
ようやく つまさきにたどりついたなら
いっきにひっぱって
ひきつれていくのもかまわずうらがえして
全部出して
濡れた砂を 粒ものこさず
そうしてすっかりからっぽになったあたしの
髪を洗濯ばさみでとめて
晴れた陽の下に干して
いなくなってください。